失意の帰国

　色々なことがありましたが、帰国の時期が近づいてきました。私も海外ボランティア活動の総括をしなければなりません。どれほど貢献できたのかわかりませんが、実績として目に見えるのは、データベース構築の仕事をしたことや合計4名のヨルダン人スタッフを日本の研修に送り出したこと、また、PCなどのいくばくかの機材を残せたことくらいだと思っていました。

　ところが、センターで導入していたデータベースシステムは費用がかかり過ぎるので、価格の安いデータベースシステムに切り替えられるということが分かりました。構築したデータベースは移行できないということで作り直すということでした。結局、私は何も残せなかったのです。

　また、JICA事務所の調整員とはあまり人間関係が上手く築けず、失意に拍車をかけました。帰国に際し、通常の場合調整員は業務として協力隊員の帰国事務の支援や空港への見送りなどするのですが、最終報告書と帰路変更届を受理してくれた以外は何もしてもらえず、チケット手配、購入、地方から首都への移動の車の手配と引越し、帰国用荷物の運搬・日本への別送手荷物手続一式など、自分自身で行いました。

　派遣前からゴタゴタした協力隊活動でしたが、帰国時もそうかと軽い失望感を感じながら空港に向かいました。ところが、予想外のことがありました。空港には休みを取って駆けつけてくれた後輩隊員たちや職場のスタッフが多数見送りに来てくれていました。沢山の人と素晴らしい人間関係を築いた。それが、最後に残った実績なのかもしれません。ともあれ、1994年4月ヨルダンに別れを告げました。