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今まで体験した自然環境の中での最高気温

 休日前の天気予報を何気なく見ていました。日本と異なり中近東の天気予報は乾季において降雨はありえないので予想気温が画面に出されるだけです。この夜の天気予報はアフリカから熱波が地中海を越えてきて、各地50度以上の気温となるということでした。

 気温が上がるという天気予報でしたが、この休日にペッラ遺跡に行ってみようと考えていたのでした。ペッラは、紀元1世紀当時にイエスが始めた新興宗教であるキリスト教の信者が集団で暮らした町であり、キリスト教徒が多数暮らす町としてはエルサレムに次いで2番目に古い歴史を持つという記録が残っています。

 熱波が来ているということで用心してタオルや帽子、多目のミネラルウォーターの2リットルのペットボトルを持って遺跡に向かいました。ペッラ遺跡の下方に位置するところにオアシスがあります。そこは今も豊かに水が湧き出てきていて、小魚が泳いでいます。ここは、羊飼いが羊を連れて水を飲ませに来るスポットです。

 泉から数百メートルのところに現在では、タバカット・ファーハルと呼ばれるバス停があります。目的地のバス停で降り、泉に行きました。そして泉の湧き出る小さい池に足を浸しました。暑い中、それだけで心地良さを感じることが出来ました。遺跡は丘の斜面に広がっており、丘の頂上には、国営のレストハウスがあります。ヨーロッパからの観光客も多く遺跡見学に来るので冷えたビールなども販売していました。

 これだけ暑いとビールがさぞ美味かろうと思い、丘の中腹の泉から上のレストハウスに向かい登っていきました。湿度が異様に低い砂漠気候で殆ど発汗はありません。50度以上の気温で丘を登ってもあまり汗をかいた感覚はありませんでした。ただ強烈な日差しで頭がくらくらし、顔に当たる風はドライヤーの熱風のような感じでした。レストハウスに着き、早速冷えたビールを頼みました。

 ウェイターは、グラスと瓶ビールを遺跡が見おろせるテラスのテーブルに置いてくれました。ビールをグラスに注いでぐぃっと飲むと最高の気分でした。しかし、ビールはみるみる温くなり、一本空ける前の僅か数分で一口目のビールのようなキンキンに冷えた切れはなく、生ぬるいビールとなり果てました。後でこの日の気温は、55度だと知りました。その凄まじさというものを本当に身をもって経験できました。